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前向きに Jazz!

日々進化し続けるJazzとともに歩んできた終わりのない旅

Category: organ (第2期)  

Coin / Emmanuel Bex

         One & Only の感性、フランスの個性派オルガニスト Emmanuel Bex のアルバム “Jazz(z)” 中の1曲 “Coin
         オーソドックスな4ビートの展開という中、若手ギタリスト Michael Felberbaum を起用してBex のクールな
         タッチが光る。
         時代的には、米国系のコンテンポラリー系オルガニスト、Larry Goldings, Sam Yahel, Gary Versace…など
         が台頭してきた時期に重なるが、世紀末から今世紀初頭にかけ、感性面では、より先進感も感じられ、特に
         一発勝負のLive環境では、爆発的プレイも飛び出すこともあり、私的には外せないオルガニストの一人となっている。

          

          Emmanuel Bex(org) Michael Felberbaum(g) Aldo Romano(ds)

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Category: guitar (第2期)  

Mikkel Ploug Group / Nocturnes



Mikkel Ploug Group / Nocturnes

Mikkel Ploug (g)
Mark Turner (ts)
Jeppe Skovakke (b)
Sean Carpio (ds)

01.Stockholm Night Lights
02.Mignon – und die Sonne geht unter
03.Sænk kun dit hoved, du blomst
04.Lacrimosa
05.Und die Sonne geht auf
06.Monet
07.Sigrids Wiegenlied
08.Peace Chant
09.Nocturnal
10.Song Can Tend the Ailing Spirit

STUCD22112 (STUNT 2023)

デンマークのギタリスト Mikkel Ploug(B1978) の新作。
同一メンバーによる2006年のデビュー作でもそうだったが、tsの Mark Turner(B1965) を全面的にフィーチャーしたものとなって
おり、この間、Turner との共演も多いというこの15年ほどの活動歴となっている。
M1, 6, 8, 9 は Ploug のオリジナル。

一通り聴いてみれば、全10曲全てがスローからミディアムスロー系の展開となっており、音楽は大自然のゆったりとした時の流れ
でもイメージするような清々しくも柔らかな光に満ちた世界観もある音世界となっている。
どこか微妙にフォーキーな流れも感じられるその音楽には、近年の一部の若手ミュージシャンに感じられるようなアメリカーナの流れ
と一部繋がるものもあるようにも思えるのだが………………。
一般的には、新しい音を求めていけば、音楽は難解な方向へと走る傾向もあるが、この音楽にはテクニカルと感じられる要素はない。
本来、音楽そのものには不必要なワザという部分のみが表立って前面に出ることもなく、ギターとテナーとが絡みあいながらも
丹念に紡ぎ出すラインは、シンプルで、すこぶる聴き易く美しく優しいといった方向性が感じられる。音楽表現上の必要性を超えた
ワザという部分のあり方にもちょっと疑問も感じていた特に近年のギター界の傾向だっただけに、何か感じるものもあった一枚では
あった。これもまた新しい音楽の方向性の一つの形とも言えるのかもしれない。
自分の好みや今まで自分が追ってきた音楽の流れ…………などから、ついつい見失いがちになってしまうが、新しい音楽に求める
方向性も無限にあるということ、そんなことも思わせてくれた一枚でもあった。

この Ploug も前述のデビュー作では、Mark Turner を擁し、明らかに Kurt Rosenwinkel を起点とした流れを強く感じさせる
ものもあったのだが、独自性という点では、満足できるという段階にはなく不満も残ったのを記憶しているが、その後、全作では
ないが時々チェックしてきての本作までの流れを振り返れば、独自の形が鮮明に感じられるようになってきており、その点では
納得できるものがある。
ただ、自分の好みからは、ちょっと”キレイ過ぎる”という点で外れてしまう部分もあるのだが…………………。
この私的好みなど吹き飛ばされてしまうほどの圧倒的な “美” に出会い、私的美の価値観など根底から覆されることにより、私的
方向性が変わってしまうほどの才能に出会いたいものだ。

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Category: Other Instrument  

Gonzalo del Val / Tornaviaje



Gonzalo del Val - Drums
Raynald Columbus - Trumpet
Romain Pilon - Guitar

Manel Fortià - Double bass

Special guest - Carme Canela - Vocals on 8

1.Es Bot
2.Agrio de Limon
3.Galeon
4.Los Tres Mulatos de Esmeraldas
5.Azur
6.Simple
7.Big Nick
8.Gota D' Agua

ER143 (Errable Jazz 2022)

今回が初めてとなる未聴のスペイン人ドラマー Gonzalo del Val のリーダー作、ギタリストとして参加のフランスの Romain Pilon
が気になり手を出してみた。もちろん他のメンバーも今回が初。
内容は、リーダー Gonzalo del Val のオリジナル中心となっているが、Coltrane の “Big Nick” が入ってるのが、久しぶりの
出会いで目を引く。

冒頭曲は、ミディアムハイのちょっと速めの4ビートによる展開の中、Columbusのハイトーンを効かせたtpとPilonの
不協和音的なgのバッキングとが適度な緊張感も生み出したオープニングでスタート。
M6は、テーマをtpに、ソロがbとgが取っているが、ウネるようなgがいいのとオリジナリティという面でも納得させてくれる。
M7は、tpとgがユニゾンでキメたおなじみのテーマの後は、フリーでアグレッシブなtpのソロとそれを煽るgが絡んでいく展開。
M8のみvocが入り、ちょっとこれのみ異質な感もあり、寛げないBossaといった感じは、これ必要?といった気もする。

Pilon以外は、いずれも初見だが、いずれのメンバーも質は高く、アルバムとして、まとまった印象も持つが、時間の短い曲が
多くトータル38分程というのもちょっと物足りなく、こじんまりとまとまった感もある一枚といった印象になってしまっているのは
質の高いプレイもしているだけに、ちょっともったいない気もする。
コンテンポラリージャズと言える内容だが、一方で伝統的なテイストもわずかに感じさせるあたりがリーダーの持ち味といったところ
なのだろう。そんな展開の中で、Pilon のギターもエフェクトを抑えたノーマル、クリアーなトーンで、いつになく渋めに攻めている
感もあり、近年の自身リーダー作とは、ちょっと雰囲気も違うようだ。

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Category: guitar (第2期)  

Are You Kidding Me? / Ananda Gari

          ドラマーのAnanda Gariの14年作 “T-Duality” 中の1曲 “Are You Kidding Me?"
          ここで興味をそそられるのが、ギタリストとして参加している Rez Abbasi(B1965) のプレイ。
          普段は、コンテンポラリー系のミュージシャンとの共演がほとんどという Abbasi だったが、ここでは
          フリー系のエリアでの活動も多いという曲者達に絡まれ、普段は表に出ることもなく、感性の最下層に
          沈殿物のように潜ませていたその鋭敏なる変態性を露出させている。
          その新鮮な刺激という相乗効果もあり、いつになく Tim Berne のアルトも好調だ。
          Tim Berne(as) Rez Abbasi(g) Michael Formanek(b) Ananda Gari(ds)

          

●本曲収録のアルバム記事は → こちらから
               2015年 今年出会った極私的この一枚

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Category: guitar (第2期)  

Sandro Dominelli / Here and Now

  Rez Abbasi (g)
  Chris Tarry(eb)
  Sandro Dominelli (ds)

  1. Here and Now
  2. Spiralling Inzio/Concetto
  3. Unconscious
  4. D.H.
  5. Through the Trees
  6. Prayer for Peace
  7. Joker and Wild
  8. Alternate Facts
  9. Exodus

  Recorded at Trading Eight Studios in New Jersey
  CR067 (Chronograph Records 2018)

パキスタン出身のギタリスト Rez Abbasi(B1965)参加のカナダのドラマー Sandro Dominelli のトリオによる同メンバー での
“The Alvo Sessions(2010)” に次ぐ8年ぶりの2作目。全9曲中6曲(1-5, 7)が Dominelli の手によるもの。

リーダー Dominelli は長年カナダで活動してきているが、それ以前の出自などに関する情報は持っておらずわからないのだが、名前
から推測すれば、おそらくネイティブなカナディアンというわけでもないと思われるが、そんなことに加えパキスタンにルーツを持つ
Abbasi の個性もプラスされ、この緊密な連携も感じられるトリオの音楽には、決して強いものではなく微かではあるがラテンアメリ
カ、東洋、南アジア、そしてもちろん米国……………など、種々雑多なテイストも感じられる無国籍感がある。

オープナーのM1とM2では、共に哀愁漂うラインの中に、速い流れを思わせるような Abbasi の鮮やかなフィンガリングが魅せる。
M4の ”D.H.”とは Dave Holland のことか?通奏低音の手法からヒントを得たような?
M5は Abbasi の個性溢れるソロが光る。
M9は映画「栄光への脱出」のテーマ

Abbasi は、 デビュー当初そしてその後の Rudresh Mahanthappa や Vijay Iyer などインド系ミュージシャンらとの共演もあり、
そこに売り出すための個性といった思惑もあったかどうかはわからないが、彼のルーツである南アジアあたりも感じるものをギター
のプレイに色濃く出していたこともあり、それがためにギタリストとしてミュージシャンとして高い能力を持ちながらも、Jazzに
おいてはキワモノ的な存在として受け取られてしまうようなことも無きにしも非ずで、過小評価されてきたギタリストと言っても
いいのかもしれない。そんな Abbasi だが、近年はウリとしていた南アジアンテイストも極端なものはなく、あくまで許容範囲と
いった流れになってきた印象もあり、米国在住のコンテンポラリー系ギタリストとして自然な感性の発露としてのギタープレイに
なってきているとの受け取りをしており、それは彼にとっても自然な形に近づいたということで私的には、良い傾向と考えている。
本作でも、リーダーの Dominelli の個性から、音楽には無国籍感もあり、それにより Abbasi からいつも以上に南アジアンテイス
トも引き出された感はあるが、それはあくまでも許容範囲であり、全体の流れを乱すようなものでもなく、本作には必要なものと
も思える。
近年では、多少フリー寄りのプレイにも可能性も感じられるなど、私的には、非常に気になるギタリストではある。

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Category: organ (第2期)  

Renaissance Man / Michael Brecker

            Jimmy Smith の支配が長く続き、ポツポツと次代の感性を持ったOrganistが出てくる
            ものの、なかなか大きく確かな流れになっていくこともなく閉塞感もあった世紀末のOrgan界。
            まさにそんな状況の中で飛び出した Brecker の一枚 “Time is of The Essence(Rec.1999)”
            中の1曲 “Renessance Man”
            若手Organistの Larry Goldings を起用したサウンドは、黒っぽくないとOrganではない
            というような時代の流れから取り残されたような悪しき概念から解き放たれ、来たる新世紀の
            Organを予感できるようなフレッシュなものであり、その点で意味のある一枚だった。

            


            Secret Champ / Jesse Van Ruller
            Jesse Van Ruller が Oganistの Sam Yahel を起用したクァルテット作
            “Circles(2002)” 中の1曲 “Secret Champ” では、先に紹介したBreckerのアルバム
            “Time is of The Essence” と同一楽器編成というクァルテットにて、曲のつくり、構成、
            雰囲気、そして曲時間までその “Renessance Man” をおそらく頭の片隅に置きつつの
            Jesse の曲づくりであったであろうものも見受けられ、新しい時代の Organ を考えた時、
            上記アルバムがその影響力により Organ の歴史の中で、一つの区切りをつけるという点で
            意味のある一枚であったようにも思う。

            

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Category: piano (第3期)  

Angelica Sanchez / Sparkle Beings


  Angelica Sanchez (p)
  Michael Formanek (b)
  Billy Hart (ds)

  1. A Fungus Amungus
  2. Generational Bonds
  3. With (Exit)
  4. Phantasmic Friend
  5. Preludio a un Preludio
  6. Sparkle Beings
  7. Before Sleep / The Sleeping Lady and the Giant That Watches Over Her

  Recorded at Van Gelder Studio, Engelewood Cliffs, New Jersey, December 10, 2021.
  SSC1674 (Sunnyside 2022)


先鋭的なピアニストとしての活動、そして Tony Malaby 夫人としても知られる Angelica Sanchez(B1972) のトリオ作。
オリジナル中心となることが多い彼女のアルバムだが、本作では3人の共作3曲(2,4,6)の他、Cecil TaylorのM3、Duke Ellingtonの
M7など、おそらく彼女も親しんできたであろう先人ピアニストの曲が4曲ほど入っているのがいつもとは違うものもイメージされる。

かすかに漂う抒情的響きが醸し出す抑えた美のM2
スローで自由に流れるミステリアスな美のM4
15分強に渡り高いテンションが持続していく流れの中で、微かな表情の変化も見せながらのAngelicaの鮮烈なピアノが圧巻なM6
ハイテンションのスタート、中盤から後半にかけての抒情性にあふれたピアノが美しいM7
いずれも彼女のコンポーズ面、プレイ面共に質の高さを感じる全7曲となっている。

鮮烈なタッチは、いつも通りで、そのアヴァンギャルドな中にもどこか抒情性ある表現も時々顔を出すのは、先人達の曲も使い、
録音場所としてJazzの歴史と深く関わってきた Van Gelder Studio を選択しているといったあたりにも彼女の本作に対する
向き合い方が見えるような気もする。

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Category: guitar (第2期)  

Blue Ritz / Jostein Gulbrandsen

          ノルウェー出身のギタリスト Jostein Gulbrandsen (B1976) をリーダーとするトリオのアルバム
          “Release of Tension (2011)” 中の1曲 “Blue Ritz

          やや地味で控えめといった印象もあったギタリストだが、現代における正統派のギタリストとして
          魅力の感性とともにしっかりとした技術も備えており、本曲では、エフェクトもONにして攻めに
          攻めた鮮やかなプレイを見せる。

          

●本曲収録のアルバム記事は → こちらから
●Jostein Gulbrandsen の関連記事は → こちらから

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Category: Other Instrument  

Massimo Biolcati / Momenta



Massimo Biolcati - Bass (all tracks)

Tracks 1, 4, 5, 7, 9
Phil Dizack - Trumpet
Kevin Hays - Piano
Kendrick Scott - Drums
Recorded at Bunker Studios in Brooklyn, NY by Nolan Thies on February 27, 2020.

Track 3
Jaleel Shaw - Alto Sax
Lex Korten - Piano
Clarence Penn - Drums
Recorded at Bunker Studios in Brooklyn, NY by Alex Conroy on February 8, 2020.

Tracks 2, 6, 8
John Ellis - Tenor Sax
Mike Moreno - Guitar
Rodney Green - Drums
Recorded at Bunker Studios in Brooklyn, NY by Aaron Nevezie on November 4, 2020.

1. Dario Immaginario
2. Adaptation
3. Emma's Dilemma
4. Love Is Stronger Than Pride
5. Along Came Betty
6. Estate
7. Momenta
8. Gumbo Blues
9. In the Wee Small Hours of the Morning

SO 004 (Sounderscore Records 2021)

Lionel Loueke 率いるトリオ “GILFEMA” のベーシスト Massimo Biolcati の “Incontre (2020)” に続く2021年作。
Biolcati のオリジナルが5曲という内容だが、曲目によりメンバーを変えての3タイプのクァルテット編成で構成されている。

メンバーなどから想像すると、コンテンポラリーな質感にあふれた適度な緊張感とキビキビしたクールなやりとりなども
ついついイメージしてしまうが、前作 “Incontre” 同様、寛いだ雰囲気も感じるようなものもあり、攻撃的にガツガツと攻め
立てるような要素はない。そんなことを書くと “easy” なものと勘違いされてしまうが、決してそんなことはなく、Biolcati
のコンポーズワークにもセンスが感じられ、それはこれ以上やると”easyな世界” にという一歩手前での際どい部分でのシゴト
ぶりに私的には感じ取っており、この辺は前作と同じようなものがあり、本作にもそんなものを期待してのゲットだったので
納得の結果だ。
日を変えての3種の編成という内容も、ともすると統一感のないアルバムになってしまったりするものだが、全体に一本芯の
通ったものも感じられ、その上で3種の編成の雰囲気の違いも楽しめるといった良い方向で収まっている。
どことなしの哀感漂う Biolcati のオリジナル M3 など、なかなかの魅力だし、気軽に聞ける内容ではあるのだが、ユルさは
無く、随所に Biolcati のセンスも光るコジャれた大人のJazz に仕上がっている。

Jazz - Other Instrument 47
Category: organ (第2期)  

Inception / Sam Yahel

         オルガニストSam Yahel (B1971) のアルバム “In The Brink of an Eye(Rec.1999)”
         中の1曲 はMcCoy Tynerのオリジナル “Inception

         Brian Blade(ds), Peter Bernstein(g) とのトリオによる本作は、Criss Cross からの’97年録音の
         トリオ作 “Trio” に続く、レーベルも代わって NAXOS からの同メンバーによる2作目。
         デビュー当時から来るべき21世紀にふさわしい次代の感性を見せていたが、本曲では、そのクール
         でモーダルなプレイにより、その辺がよく出ている。それまで長きにわたりオルガン界を支配してい
         た Jimmy Smith、その長いトンネルの先に、やっと希望の光が見えてきた世紀末のオルガン界の
         状況が見えるようだ。

         

●本曲収録のアルバム記事は → こちらから
●その他の Sam Yahel 関連記事は → こちらから

Jazz organ 215
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